最近注目を浴びている”インスタント職人”という言葉をご存知でしょうか?
今、この”インスタント職人”を養成する学校が話題を集めています。
このような学校が誕生した裏側には、今の若者の”職人”に対する不満や要望があると言われています。
ベンチャー企業と職人社会の違い
これまではどんな職業にも少なからず”下積み”というものは当たり前のように存在していました。
そんな中でも近年の企業では、若いうちから様々な業務を任せて経験を積ませて力をつけ、入社数年で昇進を果たす人材がいる例も見られます。
これは比較的年齢層の若いIT系のベンチャー企業に多いのではないでしょうか。
そんな中、今も昔も変わらない”職人”社会においては”下積み”文化が根強く残っているのが現実です。
これは、陶芸や大工などのモノづくり系の職人にも当てはまりますが、飲食系でいうところの寿司職人が筆頭かと思います。
今の若者の”職人”に対する考え
寿司職人をはじめとする職人の仕事はいつの時代も憧れを抱く若者は一定数存在していました。
しかしながら現代の若い世代はとくに”効率性”を求める傾向にあり、無駄なことに時間やお金を費やさないようになってきています。
よって長い下積みが当たり前とされてきた職人社会は、そういった意味で敬遠されてきているようです。
どんな仕事でも下積みは大事な過程であることは、誰しもが認識していることです。
しかし、この”職人社会”においてはその”下積み”の内容があまりにも不透明且つ、納得しがたいモノであると現代の若者の目には映っているようですね。
”インスタント職人”という考え方とは?
寿司職人の業界においては、
「飯炊き三年、握り八年」
という、一人前になるためには弟子入りしてから10年以上の修行が必要という暗黙のルールが存在します。
この通説を覆すがごとく、
「三か月で寿司職人を養成」
と大きく掲げたのが、飲食業界専門の人材育成会社「RETOWN HUMAN」が運営する飲食人大学の”寿司マイスター専科”です。
これは、今までの職人社会のシステムに不満を持った若者の希望をくみ取った、まさに理にかなった学校と言えるのではないかと思っています。
今までは「目で盗め」とされていた寿司職人業界の中で、
「教える」に留まらず、「身につけさせる」をカリキュラムの柱としています。
学校全体の考えとして、ただの修行人としてではなく「現場に近い技術や知識を学ぶための即戦力としての人材育成」ととらえていることが大きな特徴です。
あのホリエモンも、某メディアで
「寿司職人がが何年も修行するのはバカ」
と公に発言しているのは有名な話ですね。
これに対して
「職人をバカにするな!」
「10年修行しないと身につかないセンスがある!」
との反論が相次ぎ炎上したことも事実です。
個人的には私はだいぶホリエモン寄りの考えです。
堀江さんのように、様々な問題に対して端的に且つ理論的に返答するスタイルだと思っているので、こう言った極論?も想定の範囲内ですww
ここまで読んでいただいた方々は、下積みに対して悪い印象を持たれてしまったのではないでしょうか?
しかしながら、私自身は必ずしも”下積み”が悪しき風習とは思っていません。
”下積み”は一見その期間の長さや同じこと繰り返しという苦行から、無駄に思える要素が含まれているかもしれません。
しかしながらその”下積み”からしか得られるモノもあります。
それはなんとも言葉には表しにくい感覚的なものになるかと思いますが、それがきっと職人としてやっていく核のようなものになるのではと考えています。
なので、いくら3か月で寿司職人になれたとしても、その後何らかの壁にぶち当たって苦労することでしょう。
そこは10年以上修行してきたこれまでの職人には適わないはずです。
学校では習得できなかった”修行”でしか得られないモノがそこで光るのだと思います。
そういった意味では、三か月で寿司職人になった方々は、本当の意味での”修行”がこれから始まるという覚悟が必要になるかと思います。